北ミサイル発射…10発発射説も、金王朝崩壊へ
「テポドン2号」失敗
ついに火を噴いたテポドン。未明から朝にかけて前代未聞の連続発射は日本を混乱に陥れた。写真は、98年発射時のテポドン1(ロイター) |
北朝鮮は5日未明から朝にかけて、長距離弾道ミサイル「テポドン2号」を含む計6発のミサイルを発射した。いずれも日本海に着弾したとみられるが、漁船
や船舶の被害は確認されていない。防衛庁によると、今後もミサイルが発射される恐れがあるという。日本政府は首相官邸で安全保障会議を招集したほか、米韓
と連携を取りながら今後の対応を協議している。北朝鮮の弾道ミサイル発射は平成10年8月のテポドン1号以来。今回の凶行は、平成14年の日朝による平壌
共同宣言に違反する行為で、国際社会の反発を招くのは必至。この暴挙で金王朝が崩壊に向かう可能性が現実味を帯びてきた。
韓国の聯合ニュースによると、情報当局筋の話として、「北朝鮮が発射したミサイルはスカッド、ノドン、テポドンの計10発」との情報もある。
安倍晋三官房長官によると、ミサイルの発射は午前3時32分、同4時4分、同5時の3回。防衛庁によると、その後、午前7時半、同7時50分にも発射が確認された。米政府高官は「全部で6発」と言明している。
米CNNテレビなどは、6発の内訳として、テポドン2号が1発、中距離弾道ミサイル「ノドン」が5発としている。
テポドン2号は北朝鮮北東部の咸鏡北道(ハムギョンプクド)・花台(ファド)郡舞水端里(ムスタンリ)にあるミサイル基地の発射台から、ノドンは北朝鮮南部の日本海側にある別の基地から発射されたとみられている。
外務省幹部は、3発目がテポドン2号と認めたうえで、「発射に失敗したようだ」と語った。
日本政府は、ミサイル発射凍結(モラトリアム)延長を明記した14年9月の日朝平壌宣言に違反すると反発。ミサイル発射に対応するため、防衛庁では直ち
に非常呼集をかけ、幹部が集まる「防衛会議」を招集。官邸では午前4時に関係閣僚による官邸対策室を設置するとともに、同7時から安全保障会議を開催。こ
れに先立ち、額賀福志郎防衛庁長官や麻生太郎外相らが首相官邸に集まり、情報収集とともに対応を協議した。
安倍官房長官は緊急会見で「わが国を含む関係各国の事前の警告にもかかわらず、北朝鮮が発射を強行したことは、わが国の安全保障や国際社会の平和と安
定、大量破壊兵器の不拡散の観点から重大な問題だ」と指摘。その上で「北朝鮮に対して厳重に抗議し、遺憾の意を表明する」と述べた。
安倍長官は米国のシーファー駐日大使とも会談し、日米両政府が緊密に連携していくことを確認。シーファー大使は記者団に「この問題を国連に付託するかどうか話し合った」と述べた。
米国が北朝鮮のミサイル発射準備を示す動きを衛星画像で確認したのは5月初旬。北朝鮮のミサイル発射実験場周辺では6月中旬になって発射実験とみられる動きが活発化し、日米韓が自制を求めていた。
発射情報は一時、沈静化していたが、聯合ニュースによると、「先週末から北朝鮮が近く発射する可能性が大きいとの情報が改めて出回っていた」という。
日本政府関係者によると、北朝鮮は3日までに、自国の船舶を対象に日本海沿岸水域での航行を制限する情報を出しており、防衛庁はノドンとみられるミサイルの発射準備を示す電波の交信を確認。テポドン発射への対応と併せて、米軍と自衛隊が警戒を強めていた。
【ミサイル発射をめぐる主な動き】
93年5月 北朝鮮、日本海で弾道ミサイル・ノドンの発射実験
94年6月 カーター元米大統領訪朝で核問題めぐる危機回避
95年3月 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)発足
98年8月 北朝鮮が弾道ミサイル・テポドン1号発射、日本上空を通過
12月 ミサイル防衛(MD)システムによる将来型迎撃ミサイルの日米共同技術研究着手を決定
99年9月 北朝鮮、ミサイル発射実験の凍結表明2001年5月 金正日労働党総書記、ミサイル実験の凍結延長を表明
02年9月 日朝首脳会談で平壌宣言。北朝鮮、03年以降のミサイル発射凍結を表明
10月 米政府、北朝鮮が濃縮ウランの核開発計画を認めたと発表
12月 北朝鮮北部の咸鏡北道のミサイル実験場で爆発事故
03年1月 北朝鮮、核拡散防止条約(NPT)脱退を表明
2月 北朝鮮が地対艦ミサイルを日本海に発射(翌月に再発射)
8月 北朝鮮の核開発に関する第1回6カ国協議
10月 北朝鮮、地対艦ミサイルを日本海に向けて発射
12月 政府がMDシステム導入を閣議決定
04年6月 北朝鮮が5月にテポドン2号の燃焼実験に成功と韓国紙報道
9月 北朝鮮のノドン基地周辺に車両など集結
05年2月 北朝鮮が核保有を宣言
3月 北朝鮮、弾道ミサイル発射実験再開の可能性示唆
5月 北朝鮮、日本海に向けて短距離ミサイル発射
7月 MDシステムによる弾道ミサイル対処手続きを定めた改正自衛隊法が成立
9月 米が北朝鮮に事実上の金融制裁発動
11月 第5回6カ国協議(以後、再開されず)
12月 政府、将来型迎撃ミサイルの開発段階移行を決定
06年1月 KEDOが軽水炉建設事業を終結
3月 北朝鮮、日本海に短距離ミサイル発射。在韓米軍のベル司令官が米全土を射程に収めるテポドン3号も開発中と議会証言
4月 米海軍がMD用迎撃ミサイル搭載のイージス艦を8月に日本初配備と発表
5月 北朝鮮にテポドン2号発射の兆候
7月 北朝鮮、日本海にミサイル発射
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ミサイルが今朝方にかけて日本海に向けて発射された、日本にとっては恐ろしい話である。再三、ミサイル発射をやめるように言っていたのに、この有様。これではいつ日本にミサイルを打って来てもおかしくない。
最悪の事態となる前になんとかやめさせるような手を打って欲しいところだが…